薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

冷凍マグロ

僕の行ってたFランク大学なんて、案外、そういう学生がたくさんいるんだ。偏差値の低い高校では、まじめで、そこそこ勉強ができた方なのかもしれないけどさ。講義があると、講義のある部屋の前の方の長机に必ず陣取るようなやつらで、とにかくまじめなやつら。大学の一年のはじめぐらいにはよく見かけて、教授なんかに気に入られようとなんかしてたりして、僕はあたしはまじめです、って全身で言っているようなやつらだよ。

いつ誰になんて言われたのか知らないけどさ、とにかくまじめであることが大事なんだ、一生懸命やることが大事なんだ、それが一番大事ってことをどこまで本気だかはわからないけど、信じ込んでいるようで、自分たちは間違っていない、正しい側の人間で、これからもそうやって生きていきます、って確信に満ちた顔をしていたりして、何なんだろうな、なんて言えばいいんだろうな、困っちゃうよな、という感じがするやつらだよ。

いったい誰に言われてそんなふうにしてるんだかわからないんだけどさ、ろくに勉強もできない、やれないやつらの中でまじめにはやったんだろうけど、とにかく自分は合格したなんて成功体験があるのかもしれないけどさ、とにかくまじめに努力することが報われるんだと、思い込んでで、端から見ててどうなんだろうな、と思うんだけど、とにかく自分たちはこの社会とか人生のルールをわかってて(親切な、自分は親切だと信じて疑わないような程度の、親だか先生だか先輩だかに言われたのか知らないけどさ、そんなやつらに言われたことを真に受けてるのか)、一生懸命そのルールをまじめにやってきます、って顔をしてるんだ。

まあ頑張れよ、って思うんだけどさ、でも僕だって心からそう思っているわけじゃあないんだ、本当にそう思ってるんなら、そんなやつのこと目に入ってもここで書いたりしないわけだしね。

でもさ、ルールだゲームだ、って言うけどさ、それって、そのルールやゲームの中で、強いやつらが勝つゲームのルールを、教えているだけだろ、って、思うんだ。その自分とやらは、親切なつもりだかしれない、塾講師だか、バイト先のブラック飲食店の正社員だが、誰だが知らないけどさ。そんなゲームのルールをこなせるようになったところで、弱い側の人間が、強くなれるのかってのが疑問なんだよ。弱い側が、大きく負けているやつが、ちょっと小さい負けになったからって、負けは負けだろ。結局は強いやつらにいいようにやられておしまいじゃあないのかな、って思うんだけどね。

そりゃあ大きな負けを小さな負けにすることは、本人に覚悟があれば立派なことだよ。でもそんなやつらにはそんな覚悟なんてありはしない。

まじめに言われたことをやっていればいつかは報われるんだ。報われて当然だ。当然、まじめにやってないやつよりもいい目に合う権利がある。そうじゃないとおかしい。間違っている。なんてけちくさい、結局自分がいい目をしたいだけの、けちくさいやつしかいやしない。

本当は勝ち負けじゃない方法、勝っても負けても関係ない方法、いや、勝ち負けは大事なことだけどさ、そんなけちくさいまじめさなんて(そりゃあ場合によっちゃあまじめさも、まじめな振りも必要だけどさ)どうなんだろうとなりはしないんだろうか。

だいたいそんなけちくさいまじめ君に、したり顔で教えているやつらも、いったい何を教えているつもりなんだろうね。何も教えてないのと同じじゃないか。そんなことで、何かを教えているつもりでいると平気で思えるやつらなんて、本当に何かを教えられるというぐらいに、まじめに何かを考えているんだろうか、何も考えていないのと同じじゃないか、何も考えてませんと言ってるのと同じじゃないかと思うんだけどね。

わたしは冷凍庫の中で、わたしはカチコチに凍った、冷凍マグロのような人間ですって、言っているのと同じような気がするんだけどね。とにかくそういうやつらに限って、あれこれ他人に指図したり、お説教したりしたがるから、本当にうんざりしちゃうんだけどさ。そんでけちくさいまじめ君が、またありがたがったり、目を輝かしたりしてさ。

でも君は、僕がこう言うと、冷凍にならない方法はとか、自由に海で泳ぐ方法はあるのでしょうかなんて言うけど、そんなものなんか。