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薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

東京日記(50)

本社であった研修が終わって、職場に配属されることになった。

新しい職場である配属先は、いま住んでいるアパートから歩いて数分の、散歩とかで近くを通ったこともある場所だった。電車とかに乗って、行ったこともない知らない場所で働くのだろうと勝手に思っていたから、自分の家の近くで働くというのは、なんだかすこしへんな感じがした。

新しい仕事は本に関わる仕事だ。

古本屋のアルバイト、深夜のコンビニ店員、コールセンターの派遣社員、ネットカフェのアルバイト。書く仕事以外にはそれらの仕事しかしたことがなく、ろくな職歴もスキルもない四十近い自分が雇ってもらえる職場など、本当は日雇いの肉体労働ぐらいしかなく、それも四十近いとなると、いつまで雇って貰えるかわからない。

だから何とか前に書く仕事をやっていたという、それだけを頼りにして、せめて本に関わる仕事はできないだろうかと、応募して面接を受け、採用され、少しほっとしているが、はたして自分は周りに迷惑をかけずに働いていけるかが心配だ。四十年近く生きてきて、自分は書くこと以外は何も人並みにできないことを知っている。また、自分は人に劣ったダメな人間なのだ、と自覚して働いていかなくてはならない。

書く仕事をしていたときは、一緒に働いていた人たちは、訪ねていったら自分にお茶を出してくれ、話す場をもうけてくれたりしたが、もう、自分は人からそういう扱いを受けることはない。

 

その地区を担当しているという本社の人から、朝、始業前に職場の前に行っていてくれと言われた。不安な気持ちで、朝、職場の前に早く行って立っていると、今日から働く人ですか、と女の人に声を掛けられた。

なんだか嬉しかった。

 

2012.08.16 Thursday

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