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薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

童貞、東京に現る(3)

 じっくりとページを読むと、尖圭コンジローマは、なかなか完治しないところや治療法が、あのイボに、仲間なのかそっくりである。僕はイボ好きする男、およそイボ好みの男なのかもしれない。


 ふくろのイボが、いつ頃出来たのか正確には分からない。三年ほど前に、気づくと僕のふくろにイボがあった。働き先を辞めてから、契約社員フリーターと、僕は落ちぶれ、女性からは、当然恋愛の対象にはされなくなった。イボの数もなぜか増えない。だからただ普通のイボ、活動停止のイボ、と勝手に判断し、別に誰かに見せる機会もないので、頭の隅に追いやって、あまり気にしないようにした。それが性病の一種、尖圭コンジローマとはどういうことなのだ。


 でも性病は、なあいいだろうお前、とか言って、性交するからなるのではないのか、尖圭コンジローマも、性交によって感染する、とページにもしっかりと書いてある。とすると、やはり僕には縁のない話ではないか。


 しかし、そのあとに、また性交に類似する行為、手指、器具などを介して感染することもまれにあります、と書いてあった。
 類似する行為とはいったいなんのことを指すのであろう。僕は器具は使ったことはないが、手指なら使ったことはある。よく使う方である。手指を使ったことのない男が果たしているのだろうか。
 いかようにもとれる書き方をするなんてズルいじゃないか、この不安をどうしてくれるんだ、と僕はディスプレイをじっと見つめたのだが、画面上のナース姿をしたマスコットが、こちらを見て微笑んでいるだけであった。


 僕は気にしないようにしていたイボのことがどんどんと気になってきた。あるとき、股の間がひどくかゆくて、ボリボリ掻いていたときがあったが、その掻き傷からウィルスが入ったのかもしれない。ウィルスは目には見えない。はいここにいますよ、とか言ってくれたら、ボリボリは掻かなかった。


 不安になってしょうがない。僕は逃避癖があるので、寝たら忘れるだろうかと思ったので眠ることにしたのだが、寝れないし忘れられないので、電気をつけ直し、電話帳で泌尿器科のページを見てみることにした。


 何々クリニックという名前で、全国展開している幾つかの医院の広告が、まず目についた。安心カードローン、二十四時間電話相談可能と大きな文字で書いてある。病院というものも、あるひとつの場所から始まるので、それが全国展開しているということは、建物や医師はタダで建ったり、ダダで現れたりするものではないのだから、そんなに大きくなるお金はどこから調達してくるのかといえば、患者からだ、ということになるわけで、猜疑心の強い僕は、もうこれはボラれに行くようなものではないかという気がしてきた。電話をしたが最後、番号を控えられ、電話攻勢によってイボの羞恥心をくすぐられ、ローンを組まされてしまうに違いない。


 風俗店が建ち並ぶあたりの住所が記されている病院もある。性病検診、包茎手術、尖圭コンジローマ切除などとはっきり書かれている。しかし、場所柄が。知った人に会ったらどうするのだ。それに性病やコンジローマだとは僕は断じて認めたくはない。もうそうはっきりと書かれているところに行くと、何だかもうそうなっていまっているような気がしてくる。


 結局、僕は住所と電話番号と地図などが書かれたシンプルな広告を出している、住宅街にある、知った人に会わないような、自宅から遠からず近からずな泌尿器科、藤澤医院に行く場合には行こうと、予定の予定をとりあえずは決めて、そのページに付箋を貼り電話帳を閉じた。
 行かない可能性が高いが、行く場合は藤澤医院と決めると、いままでよりは少し落ち着いたような気がする。もう夜もおそいがネットでもしていたら気が晴れるのではないかと思い、僕はミクシにログインした。

 

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