薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

父漏らす

おやじが東京駅でうんこを漏らした。悪かったな、と千円もらった。
受け取らないと気の毒のような気がして、受け取ることにした。

田舎から出てきた父と、駅で昼食を一緒に食べたあと、銀の鈴というものの近くにある、オープンカフェ形式のコーヒーショップで、ふたりでカフェオレなどを飲んでいたのだった。

突然、ちょっとトイレに行ってくる、と言って小走りに目の前から居なくなったと思ったら、三十分ほど経っても一向に戻ってこないので、どうしたのだろうと思って携帯に電話を掛けても、全く出ない。

何度繰り返し鳴らしても出ないので、十分ほど経ってまた掛けたら、やっと出た。
しかし、あひゃひゃ、とか、うぁえああえええ、とか、ああまたあとで掛けるから、みたいな、要領を得ないことを言うばかりで、いったい今どこで、何をしているのかわからない。ただちょっと嫌な予感がした。

店は混んでいて、ずっとひとりで席に座っているのも後から来た客に迷惑なので、席を立ち、父親と自分のかばんを持って、銀の鈴の前あたりまで行って、父親がやってこないだろうかと見回していたとき、ひょっとして、と思った。

帰ってこない時間を考えると、そうかもしれないと思い、最悪の事態を考えて、何ならズボンとパンツを買って、トイレの前まで持っていこうか、というつもりで携帯に電話を掛けようとしたと同時に、パンツ一丁に、革靴を履いてこちらに歩いてくる父親を目撃したときは、どうしようかと思った。スカイブルーのトランクスだったので、周りは短パンを穿いているのだと、勘違いしていたと思いたい。トランクスは、フィラだった。七十近い爺がFILA。これからFILAのロゴを見るたびに、そのときの親父の姿が浮かんで来てしまうだろう。

手にビチャビチャになったズボンを持っていて、トイレで手洗いしたという。最悪なことに下痢だったという。そんなことはいいから早くズボンを穿け、買ってこようか、どこか物陰に隠れとかないと、というと、わたしがいま持っている父親のかばんの中に、別のズボンとパンツが入っているという。

大都会の真ん中でうんこを漏らして、パンツ一丁で歩き回って、へんなテンションになっているのか、ここで着替えると言う。

そしてかばんの中を探りながら、これまでにうんこを漏らした経験を訊いてもないのに語りだして、明石公園?の便所に行ったら、便所中うんこだらけだったとか、わけのわからないことを言い出して、パンツをおもむろに脱ごうとするから、おい待て、と言って手を押さえて、パンツをずり下ろそうとするのを止めさせ、いい年した親子が揉み合うかたちとなったが、東京砂漠の大都会なのか、見るからに異常事態なのに(大勢が行きかう傍でフリチンになろうとする老人と、 それを止めさせようとする中年の争い)誰もこちらに注意を払わない。

いいからもう一度トイレに行って穿き替えるんだ、と言っても、誰も見てないからここで穿き替える、と言って譲らない。仕方が無いから柱の陰に連れて行って、わたしが衝立のように立って穿き替えさせた。
警備員とかきて、捕まらないかとひやひやした。
そして迷惑掛けたな、と穿き替えた後、千円を貰ったのだった。

でもあれだろうか、東京駅構内で、赤ちゃんのいる女性がおっぱいほり出して、母乳を与えたらセーフだろうか。今ならアウトの気がするが、わたしが子供の頃は、街中でそんな光景をまだ見かけていたような記憶がある。よく考えてみればそれはアナーキーだ。
授乳というのは、何か見ている方がいけないものを見たような気になる。
いとこが子供におっぱいをやっているのを見かけたような、へんな気恥ずかしさがある。
場合によっては、セックスシーンよりもエロイ気がする。だって映画で女優のベットシーンはあると思うが、公開授乳シーンはないと思う。
わたしも何かおかしくなってきた・・・

 

2012.07.10 Tuesday

 

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