薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

わき汗

担当編集者のNさんと亀戸サンストリートのカフェ、ヌックカフェという店で打ち合わせをした。
Nさんははじめて亀戸に来たらしい。
特にサンストリート亀戸が気に入ったとのこと。
やはり映画『デビルマン』で、世界の中心としてまで描かれた亀戸サンストリートには、いわく言いがたい魅力があるのだろうか。
いい意味で、「郊外」、という感じが何かあるらしい。
言われてみれば、そういう気がする。人工的で、どこかバック・トゥ・ザ・フューチャーに出てくる町のような感じがある。

Nさんは小さいころこういう町で育ったらしい。

 

ゲラチェック中、校閲から指摘された「わき汗」という言葉が問題に。
片やハンドタオル、片や手ぬぐいで額の汗を拭いながら、日本語として、「わき汗」はセーフか否か、ということでお互い強い口調になった。
Nさんは「わき汗」という言葉は厳密には日本語としてまだない、と言い(その瞬間わたしの頭に、なぜか『日本語が滅ぶとき』、という言葉が浮かんで来た)、でもわたしは「わき汗」で通じるのだからいいじゃないか、と言い、かなりの間、「わき汗」で行くか行かないか、ということで延々意見を言い合っていた。
センスのいい感じの、店の椅子はイームズぽいデザインで統一されていたりするような、女子が好きそうな店の中で、いい大人が、何度もわき汗わき汗と大きな声で言い合っていたが、周りの人たちはどう思っていたのだろう。
オシャレなサンドイッチとか食べたりしているのに、わき汗わき汗と何度も言っていて、こういう店に来たときくらいわき汗のことなんか考えたくもないだろうに、本当にあとから申し訳ない感じがした。

 

これまでは、出版社まで書いた原稿を持ってお伺いしていたが、はじめて編集者の方が自分の住む町まで来てくれた。少しだけ認めてくれたような、階段をほんの一段だけだが上がれたような気がして嬉しかった。Nさんを亀戸駅の改札で見送りながらそんなことを思っていた。

しかしわたしの人生だと、その後階段から転がり落ちるのがこれまでのパターンなのだが。

 

2010.06.18 Friday

 

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