読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

東京日記(16)

東京日記

夜だった。
わたしが、自分の狭いアパートの部屋でじっとしていると、突然電話機が鳴り始めた。
知り合いなら、わたしの携帯の方に、電話をかけてくるはずだった。
そのままにしておくと、電話機は、わたしの不在と、メッセージかファックスを送信することを、電話の向こうに居る相手に伝えた。
電話の向こうから、ざわざわと騒がしいながらも、何か楽しげな雰囲気が、微かな音とともに伝わってくる。
電話の向こうにいる相手は、何も話さなかった。
ただ何か、空気のようなもので、相手は女性であるような感じが伝わってきた。
なぜか、わかることが不思議だが、そうであるような気が強くした。
やがて、電話がファックス機能に切り替わった。
電話の向こうは、こちらに何かを送信しているようだった。わたしの電話機は、紙を吐き出し始めた。
ファックスの送信が完了した合図の音が、電話機から流れた。すると電話は切れた。
わたしが近づいていって見ると、紙にはスターバックスの、行ったこともない(わたしはどのスターバックスの店にも行ったことはない)店舗の、その日と今月の売上が書かれていた。

ネットで検索すると、その店は、わたしのアパートからも、電車で行ける距離にあった。
場所の地図と、店の写真と、口コミによる店の感想などが、わたしのパソコンの画面に表示されている。
送られて来た紙を持ち、わたしはその店に行くべきなのだろうか、と思った。

売り上げを報告されてくる。

わたしは知らないうちに、スターバックスの何になったのだろうか。

 

そもそものファックスのはなし

 

2009.05.25 Monday

広告を非表示にする