薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

東京日記(15)

天気が不安定で、雨の日が多いというか、雨ばかりだ。
近所のコインランドリーに乾燥機を使いに行った。
夜遅くに行ったので、コインランドリー内の照明がつかない。
そういえばこの店は、九時以降だと照明がつかないのを忘れていた。
ただ、別配線なのか乾燥機は使える。
真っ暗な中、機械が服を乾かし終えるのを待っていると、扉が開く音がした。
見ると、女の人が立っている。
暗いから、女の人と分かるぐらいで、表情や、どんな格好をしているのかはわからない。
そういえば去年もこんなことがあって、日記に書いたような気がする。
見知らぬ男と暗い店の中で二人っきりは、少し怖いだろうと思って、気を使ってこちらは一旦店の外に出ていようとしたら、話しかけられた。
カワカシテルノ。
東南アジア系の女の人のようだった。彼女も服を乾かしに来たらしい。
笑ったような、敵意の無い感じが、何も見えないのに、空気のようなもので伝わってきた。
ええ、とわたしは答えた。
聞いただけで、東南アジア系の人だとわかる、ということを、いまは目で見えてないからか、そのことをよけいに実感して、何だか妙な生々しさがあった。
乾かしてるの、という言葉は同じなのに、聞いただけで、東南アジアから来た人なのか、韓国から来た人なのか、中国から来た人なのか、そういえばわかるな、と思った。
そういえば、わたしのアパートの、隣の部屋には中国の人が住んでいるが、くしゃみがやっぱり中国人だ。
くしゃみの音が、何か中国ぽい。
お互い服が乾くのを待っている間、広島訛りの日本語を話す男と、東南アジア訛りの日本語を話す女が、雨が多いですね、とかなど、二言三言、間を持たせる為に会話を交わした。
その後、わたしの方の服の乾燥が終わったので、服を持ってきた袋に取り込んで、それじゃあお先に、とわたしは言った。
しかし相手は、それじゃあお先に、という言葉の意味が分からないようだった。
ただ、帰る前になにか別れの意味の言葉を言ったのだな、と思ったのか、相手の、サヨナラネ、みたいな空気が、暗くて見えない中伝わってきた。

 

2008.09.12 Friday

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