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薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

東京日記(10)

東京日記

寝ていた。
携帯電話の震える音で、目が覚めた。
まだ、意識がはっきりしないままで出ると、体調が悪くなってしまって、今日そちらには行けなくなった、という、友人の声が聞こえる。花火を見られなくて残念だという。

電話を切った後、ベットの上で長いことぼーっとしていたら、ヘリコプターが飛んでいる音が聞こえ始めた。何機か上を飛んでいるようだった。
窓を開けて空を見上げると、曇った夜空を、光を点したヘリコプターが行ったり来たりしている。
雨が降る可能性があると予報で言っていたが、曇っただけで降ることはなかったらしい。
やがて、どこか遠くの方で鳴っている、かみなりに似たような音、おそらく花火を打ち上げている音が、聞こえ始めた。

外に出たら、どこかから見えないだろうかと思い歩く。
浅草通りに出ると、花火が見えた。
風が吹いていて、そんなに暑くはない。
いつもは人通りのない道に、人が並んで、みんな夜空を見上げている。
隣に、家に帰る途中なのか、自転車二人乗りの母親と子供がいて、花火を見ている。
前を、浴衣姿の若いカップルが横切った。
女の子の方は、半分気持ちがうわのそらのような感じで歩いて行く。
彼氏の前で、浴衣を脱ぐところまでをもう思い浮かべてもいるのか。
そう見えるのは、わたしがスケベな中年だからだろうか。

何だかビールが飲みたくなったので、近所のコンビニに向かう。
建物の向こうに見える、隅田川の方角の空が、曇り空だからか花火の光を反射して、赤く染まったり、黄色く染まったり、緑に染まったりしていた。
コンビニは、ガラガラに空いていた。
この時間では普段あり得ない。みんな花火を見ているのだろうか。
バイトの人たちは、いつもより楽で、嬉しそうだった。
いつもより贅沢をして、普段は発泡酒のところを、瓶ビールを買って帰った。
コップに注いで、花火の音を聴きながら、ひとりアパートの部屋でゆっくりと飲んだ。

 

2008.07.26 Saturday

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