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薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

ファックス

ファックスの使い方が、未だによくわからない。
実家には、ファックスというものはなかったし、デスクワークを主にするような仕事には、これまで就くことがなかったので、外でファックスの使い方を覚える機会にも、めぐまれてはこなかった。

ある日、そんなわたしが、もう要らなくなったからと、ファックス機能が付いた電話機を貰った。

とりあえず、電源コードと電話線を繋いでみたら、電話としては問題なく使える。
だから、そのままにした。
ファックスとしては、使い方も、使えるかも、わからないが、別に必要だとも思わないので、使い方も、使えるかも、調べることもなく、そのまままにしていた。

しかし、そうしていたら、変なことになってきた。

突然見知らぬところから、月に一度ほど、ファックスが届くようになった。
わけのわからぬ言葉が、わたしに届くようになった。
ファックスとしてこの世に生を受けたのに、ファックスとして使わないので、ファックスがわたしに反旗翻しているのだろうか。

一度や二度ではない。
毎回、突然音が鳴り始め、紙が印刷されて出てくる。
主に、仕事の依頼として、どこからともなく送られてくる。
見積書が、普通に送られてくる。
勝手に見積もられて、送られてくる。

いつのまにかわたしは、ダスキンの特約店になっていた。
身に憶えのない名の工務店になっていた。
間違ってますよ、と知らせてあげたいが、わたしには返信の仕方がわからない。
だから、いつもそのままにしている。

六畳一間の、ひとり暮らしのわたしの部屋には、取り換え用お掃除モップもなければ、壁紙を貼りつけたりする道具もない。
だから、間違いに違いないのだが、それでもファックスの送信が止むことはない。
月に一度くらいの割合だが、なぜか必ず送られてきている。

わたしが勝手に、間違いだと思っているだけなのだろうか。
わたしが家に入った瞬間、表札が、工務店の看板に変わっているのだろうか。
どこか、天井の裏などに、モップが大量に隠してあるのだろうか。

家で寝転がっている、スウェット上下にコートを羽織って、指定の住所に行った方がいいのだろうか。呼ばれましたのでお伺いしましたと。仕事とはそういうものだったのだろうか。

もはやファックスは、未知の場所から勝手に電波を受信し文章化するという、奇妙な箱と化している。月に一度ぐらいの割合で、今もわたしへのメッセージは送られ続けている。

 

2008.01.16 Wednesday

 

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