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薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

おっぱいとわたし(6)

おっぱいを止める為、わたしは駆け出そうとした。
しかしそのとき、江東区役所の中へおっぱいは入っていった。
どうなるのだろう。受理されてしまうのだろうか。どうしていいかもわからなくなり、わたしはその場から駆け出して、逃げてしまった。
当てもなく町をさまよったが、結局は自分のアパートに帰るしかない。
何もすることができず、ベットの上にただ横になっていた。
すると、玄関のインターホンが鳴った。わたしはベットから起き上がる気もおきず、そのまま黙って放っておいた。いくらかして、またインターホンが 鳴った。わたしは黙っていた。やがて、どんどん、と扉に何かがぶつかる音がした。わたしは扉を見た。また、どんどん、と扉に何かがぶつかる音がした。
おっぱいなんだろうか。じっと黙っていたら、扉の向こうも物音を立てなくなった。
だが、扉の向こうにいる気配がする。
黙って長い間、わたしは扉を見つめた。やがて、扉の向こうから気配が消えた。
わたしは起き上がって扉まで行き、覗き穴から扉の向こうを見た。だれもいないアパートの廊下が、覗き穴の歪んだ視界から見えた。
わたしはそっと扉を開けて外を見た。
すると、廊下の端の階段の手前に、後姿のおっぱいがいて、こちらを振り返った。
階段を下りて、帰るつもりだったらしい。
しまった、とわたしは思った。