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薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

おっぱいとわたし(4)

目の前の、おっぱいの後姿を見つめていると、むらむらと腹が立ってきた。
後ろ姿はまるでおしりのようだ。
どうしてくれよう、と思ったら、わたしを無視して、おっぱいはとことこと歩き出した。勝手にしろ、こっちも無視して行くだけさ、と思ったが、区役所の入口の方におっぱいは向かっている。何をする気なんだ、とわたしは思った。
見ていると、おっぱいは谷間から用紙を取り出した。ちょっと立ち止まって、記入漏れがないか確認しているようだ。よく見るとそれは、婚姻届だった。川に落ちたので、少し湿っている。
もしかして、おっぱいはわたしを勝手に配偶者にしようとしているのか。
だとしたら、いつわたしの署名捺印を取ったのだろう。書いた憶えも、押した憶えもない。
わたしが部屋で寝ている間に、かちゃり、と扉を開け、そろそろと入ってきて、おっぱいはわたしの腕を取り、勝手に。
なぜか知らない間に、おっぱいの人生設計に組み込まれている。
おっぱいは、用紙を畳んで谷間にまた戻し、少し足取りを速めて入口に向かい出した。