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薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

上京日記(44)

五月十六日

本屋で立ち読みをしていたらおならをしてしまった。

静かな店内に、ぷーぅーというおならの音が響いた。
静かな店内が、一瞬さらに静かになった。
何も無かった振りを、みんなしている。
しかし、そこに居合わせているすべての人が、この人おならした、この人おならしましたよ、と思っているのは、確かだった。

わたしは、読んでいた武田百合子富士日記』(中)を、中公文庫の「た」の行にそっと戻し、静かにその場を立ち去った。

その本屋にまた、本を買いに行ってもいいだろうか。
レジで川上弘美の『真鶴』を出したら、おならをする人でも川上弘美の『真鶴』を読むんですね、と内心店員につっこまれないだろうか。
純粋理性批判』とかが、いかにも本屋でおならをしてしまう人らしくていいだろうか。

歩いて行ける本屋はそこしかない。早く、今日みんなの前でおならをした見知らぬおやじのことを、その場に居合わせたみんなは忘れてほしい。

 

2007.05.16 Wednesday

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