薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

上京日記(22)

四月二十日

わたしの住むアパートの隣に一戸建ての家があり、そこに大きな犬が飼われている。ゴールデンレトリバーという種類の犬だが、ときどき激しく吠えているのを、自分の部屋に居る時などに聞く。

しかし、わたしはその一戸建ての前をよく通るのであるが、一度も吠えられたことがない。なぜだろう、くみしやすい、と舐められているだろうか、と思っていたが、どうやら近所の人には吠えないようで、たまたま通りかかった人などにだけ、吠えているようである。

犬だから、ニオイで誰であるかを覚えていて、区別しているのだろうか。

わたしの体は、なんかカブトムシっぽい臭いがするのだが(何かそういう臭いです)、引っ越してきた時から、あのおっさんカブトムシのニオイだな、と思っていて、夜などに、わたしが 玄関の扉を開けると、隣の犬は、もうわたしのカブトムシ臭が動き始めたことを察知し、わたしが近づいて来たことに気づいていて、吠えはしないのかもしれない。

わたしが犬の前を通り過ぎる時は、犬は大体寝ているが、わたしが通った時に、耳をちょっと動かしたり、片目を開けて、わたしのことをちょっと見て、また目をつぶったりする。

わたしのことを何と認識しているのだろう。カブトムシのおっさん、と思ってるのだろうか。面倒くさいから略して、カブトのおっさん、と思っているのだろうか。カブト、とまで略されていたら、さすがにイヤな気がするのはなぜだろう。何か失礼な気がするのはなぜだろう。

ニオイで認識しているということは、わたしがカブトムシの扮装をして前を歩いていも、吠えない、ということだろうか。

夜、スーパーにお買い物に行く時には通るのだが、またあのカブト、惣菜が半額になる時間を見計らって、スーパーに急いでいるよ、と内心思っているのかもしれない。恐ろしく鼻がきくので、わたしがどこに行って何をしているのか、鼻を使って追跡しているのかもしれない。人間でいうと、ずっと鼻が歩いて尾行されている、という感じなのだろうか。

 

2007.04.20 Friday

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