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薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

鳥取

広島日記

夜、家でテレビを見ていると、玄関の方で、ストッという音がした。
行ってみると、新聞受けのなかに細長い封筒が入っていた。
封筒に、宛名などは何も書かれていない。
開けてみると、白い紙が入っている。
紙には、鳥取、とだけ書かれていた。

玄関の扉が、いつもとは何か違って見えた。
音をたてないように近づいて、扉の覗き穴から玄関先の様子を覗うが、人の姿は見えない。
不審に思って、ゆっくりと扉を開けてみた。
廊下は、静まりかえっていた。廊下を、蛍光灯が照らしていた。
左右を見た。わたしの部屋と、違う番号がついた、同じ形をした扉が並び、誰もいない廊下がその前を通っているだけだった。蛍光灯が、一瞬点滅して、また、正常に灯った。しばらく耳をすましていたが、何の音も聞こえてはこなかった。
わたしは急いで扉を閉め。厳重に戸締りをした後、ふとんをかぶるようにして寝た。

しかし、次の日の深夜、川崎君が迎えにきた。
こんばんは、妖怪です、という。
小中学生時代の友人、川崎君に似ている。似ているというよりもそのまま川崎君だ。川崎君だろうか。川崎君はいい学校に入ったので、いまごろエリートサラ リーマンになっているはずだ。川崎君ならわたしと同い年のはずだが、目の前にいるのは、高2の時、町で偶然に会ったときの、わたしが最後に会った時の姿を した、川崎君だ。
さあ、行きましょう。と川崎君は言う。

真夜中の町は、静まりかえっていた。灰色のアスファルトに、街灯に照らされた川崎君とわたしの影が真っ黒く映っている。川崎君はひたひたと歩いていく。夜がいい匂いだ。

 

2007.03.09 Friday

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