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薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

女性をひきつける呪文

久々のお休み、テレビのワイドショーを見た。ワイドショーなど、最近は見ていなかったが、たまには見るのもいいものだと思った。下流階級のエリートを自認するわたしは、ワイドショーなど下賎な暇人の見るものだと勝手に思い込んでいた。反省しないといけない。

ワイドショーによると、東京には、ひとりで十人だか十一人だかの女性と一緒に住んでいる男がいるらしい。いまだ、一人の女性とも同居させてもらったことの ないわたしには羨ましい限りだ。妬ましい限りだ。金でする贅沢や差異に目のない女性が大多数を占める世の中、どんな大金持ちだろうと思うと、なんと無職だ という。女性達に食わせてもらっているという。では、どんな美男子かと思うと、まるで妖怪のボスのような顔をしている。

いやいやいけない。そもそも、他人に羨まれるような職や地位に就く、大金を稼ぐ、資産がある、容姿にすぐれている、というような評価基準しか自分の中に 持っていない、わたしの方に問題があるのだ。きっと、それだけの数の女性にお世話されているくらいだから、彼にはとてつもない魅力があるのだ。

それを盗まなければならないと思い、食い入るように見ることにした。さすがに時の権力が、政界と関わり合いがありそうな幾つかの事件から、大衆の関心を逸 らさせるためにぶつけて来ただけのことはあると思った。いやいや、そんな陰謀史観のようなものの見方をしていると、そのうち日本の皇族はフリーメーソンと か言い始めて、同じような視点を持った人としか関われなくなるので気をつけないといけない。

とにかく、余計なことは考えないようにし、妖怪のボスのような彼の言うことだけに集中した。彼によると、女性をひきつける呪文を唱えて、いまのような状況 になったということらしい。さすがに彼は言うことが違う。ぜひ、その呪文を教えてほしいと思ったのだが、それは放送されないのだ。

その呪文を放送させまいとする勢力は、いったいどういう利益団体なのだろうか。男がモテモテになって、一夫多妻のような生活をすることを敵視する集団とは、どんな考えに偏っている変態どもなのだろうか。

彼には子供もいるのである、そこそこ豊かな生活を一夫多妻家族で営んでいるようである。奥さん達の顔にはなぜかモザイクがかかっていてはっきりとはわから ないのだが、わたしなどが、どんなに頑張っても付き合えないような、なかなかの容姿をしているようなのである。そんな女性達と日々の生活を営んで、子供ま でこさえているのである。しかも、働かなくていい。モテナイ男への福音ではないか。ぜひ、そのノーベル賞ものの発明発見、いやそれ以上であるすばらしい呪 文は、世の総ての男子諸君に伝えられるべきだ、と残念に思う。

番組中、彼のVTRが流されている時に、女子アナの、なに、この人、信じられない、気色悪いという表情の映像が、合間にはさまれて放送されたが、それはど ういう意図なのだ。そしてVTR終了後に、コメントを求められた女子アナたちが、さっきカメラの前で作っていた表情と、まったく変わらないような回答を繰 り返していたが、さすがに、女子の穴で育成されたエリートである女子アナウンサーは言うことが違う、と思った。

こういうことが起こると、キモイとか、女性が被害に遭っているとか、常識外れという非難とかがあがるが、もしかするとそうではないのでは、と思った。みんなリアルに想像していない。

あの彼の顔、妖怪のような顔、あれはきっと、精を抜かれた顔だ。二十代女子が十人も、どんどんと日に日にスケベになっていく、二十代女子。一晩一人のお相 手を務めさせて頂くとしても、ひとりひとりの女子は十日に一度になる。そんなペースで女子が満足するわけがない。せめて三日に一度とかにするには、いや、 毎日じゃないと満足しない女子もいるだろう。そして一晩の内に何回も求められたとしたら、彼はそのせいで働く気力も暇もないのだ。必ず数時間に一度はさせ られるのだ。実は、彼が十人の女性に囚われた奴隷なのだ。

だからあんな姿に、夢の中の出来事のこととか言い始めているではないか。それにくらべ、インタビューを受ける女性のなんと生き生きしたことか。不可思議な 呪文を発見したせいで、彼はなんてことに。わたしでもノイローゼになる。なんだか、とってつけたような容疑で彼は捕まったが、きっと、警察は彼を救い出したのだ。彼こそ被害者なのだと思う。

 

2007.01.06 Saturday