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薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

トイレ

ブックオフでお得な本を漁っていると、作家や編集者の呪いか、突然の腹痛におそわれた。
店内を見廻してみるが、客用のトイレが見当らない。
店員にうんこさしてください、と正直に言ってみようかと思うが、忙しそうであったりもして、そんなことは言い出せない空気がある。
お願いだからさしてください、といいオヤジが真剣に頼み込めば、させてくれそうな気もするが、防犯上の理由などで断られそうな気もする。

まだなんとか猶予がありそうなので、不自然に冷静な顔をして、ゆっくりと店を出て、自らの自転車にそっと乗り、近くのSATYへ向かった。
まだ少し決壊までには時間があると見積もっていたが、あっという間に、はぁあああと叫び出したいような状態になる。

祈るような気持ちになりながらSATYに辿り着き、アイスを食べる人や、たこ焼きを食べる人や、フルーツジュースを飲む人の横を尻を押さえながら通り過ぎ、やっとの思いでトイレの個室に駆け込んだ。

ハァフウとため息をついておこなっていると、何か上からの視線を感じた。
向くと、シカがこちらを見ている。
隣りの個室の壁越しから、細長い顔を出し、真っ黒い目でこちらを見ている。

マチコだ。

マチコは、左右の耳を動かし、湿った黒い鼻をヒクヒクさせながら、こちらを見ている。
じっと見つめ合っていると、顔をひっこめた。
かと思うと、壁が僅かに開いている下のスペースから、細長い頭と首をこちらの方に挿し込んでこようとしてくる。
しかし、ほんの少ししか開いていないので、何とか鼻先がでるくらいである。
横の個室で、バタバタ音をたてて動き回っている。
こちらは動くことができない。
すると、やがて音がしなくなった。

し終わったので、そおっと窺うように出てみると、手洗い場の前にいて、トイレットペーパーをワンロール咥えて、四本足で立っていた
そしてそのままトコトコと出て行ってしまった。

 

2007.02.03 Saturday

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