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薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

夕方、コンビニエンスストアーにて、魚肉ソーセージ、柿の種、乳酸菌飲料ピルクルを購入する。半透明のビニール袋に入れられたそれらをブラブラさせなが ら、自宅前の信号が青にきりかわるのを待っていると、私の斜め前に男と犬がいた。犬は男の飼い犬のようである。奇妙な姿の犬で、毛は生えてなく、面長の犬 で、鼻が長い。しりの穴は丸見えである。犬は変態である。よつんばいで歩き、人では考えられない姿である。

犬を連れた男は、なかなかの身なりをしている。奇妙な姿の犬を連れているだけはある。こんな奇妙な姿をしている犬は、きっと値がはるであろうし、血統書付 であろう。普段のエサも、こんな犬だと残飯にみそ汁をぶっかけたものを食わせるわけにもいかないだろうから、金がかかるであろう、と私は思った。

私は自分の姿を見た、私はいま、もう何年も着古した灰色のトレーナーに、友人から貰ったユニクロのコートを羽織り、今年買ったばかりなのに、もう毛玉だら けの紺のスエットパンツを穿いている。毛玉だらけのスエットパンツは、近所のスーパーで三枚二千円で買ったものである。はじめ、一枚千円で売っていて、お 買い得だと思って買ったら、二週間後には、それが二枚で千円になっていて、ちょいちょい、と思って買ったので、三枚で二千円である。いったい原価はいくら なのか、とても疑わしい代物である。私は犬ではないので、裸によつんばいで、しりの穴丸出しで、外を出歩くわけにもいかないので、このような苦労をすることになる。そんな姿で出歩いていたら、きっと警察に持っていかれるであろう。しかし、毛玉だらけとはいえ、着てさえいれば、持っていかれることはないので ある。私の姿は必要最低限である。

私は生活も必要最低限であるので、犬など飼う余裕はない。犬など飼ったら、私の方が飢え死にしてしまう。魚肉ソーセージや柿の種を、犬と奪い合いをするの は惨め過ぎる。いつかは、犬にでもいいから、食い物を分け与える生活がしてみたいものである。いまの私は、飼い犬よりも、おそらく粗末なものを食べてい る。なぜ世の中に出て働いている私が、他に寄生している生き物よりも粗末なものを食べなければならないのだ。

男と犬のところに、女がお待たせーと小走りで寄ってきた。どうやら待ち合わせをしていたようである。犬をあいだにはさんで、男と女は並んで立った。女はスカートではなくパンツを穿いていた。すると犬が、女の尻の割れ目に、長い鼻を差し込んで、しきりににおいを嗅ぎ始め、何かに気でもついたかのような素振りをしたあと、気でもおかしくなったのか、その場でしきりにとび跳ね始めた。ひどく嬉しそうであるが、やはり犬は変態である、との思いを私は強くした。

 

2007.01.09 Tuesday

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