薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

下流の話

何の意味もない人生

仕事に追われて原稿がろくに書けていない。何とか書き上げて賞の締切日に提出しようとしていると、携帯に、めったに掛かってこない父親の携帯電話からの着信があった。 出てみると、父親ではなく、知らない男の声で、父親の名前を言い、あなたは息子さんです…

何をどのように書くのか。

今度の職場はこれまでよりは全然いい場所のような気がする。運不運というが、これまで社会に出てから十数年、自分は人から悪意をこうむったり、職場がブラックだったり、性質の悪い人に利用されたりと、いいことがなかった。 でもそれがなければ東京にいる今…

東京日記(52)

四十近くにもなって、四十近い男性は働いていないような職場で働きだした男は、一体どういうやつなんだろうと気になるのかもしれませんが、あんまり訊いて欲しくはないのです。 でもなんか、他人に訊ねられて、それまでの何年間かを自分の口で説明するという…

簡単には言えない

住んでいるアパートの一階に、体が不自由で上手く歩けないらしい、独居で生活している男の人がいて、一日中家にいて(わたしも一日中家にいるのでなんとなくわかる)、その人がベランダから野良猫にエサを与えたり構ったりするので、近所の野良猫がアパート…

ぼくは勉強ができない

わたしの育った町である広島というのは、今でも中四国で唯一人口減少のない都市で、それなりに栄えており、「広島カープ」や「サンフレッチェ広島」という、野球チームやサッカーチームがある都市でもあって、いわゆる福岡や仙台や札幌などと同じような、そ…

東京日記(38)

夜遅く、近所のコンビニに行った。わたしが店に入ってきても、いつの頃からか、いらっしゃいませとは言われない。家の近くにそのコンビニしかなく、もう数年通い続けているので、アルバイトに顔を憶えられているからか。わたしも二十代の中頃、深夜のコンビ…

自分はどこに立てばいいのだろう。

夜中、吉野家で牛丼を食べた。わたしにとっては久々の贅沢。店に客はわたし一人しかいなかった。注文した牛丼が運ばれて来たときに、店に、三人の女子高生が入ってきた。一人は私服で、二人は制服だった。こういう、二十四時間営業の店しかもう開いてない時…

真夜中

夜、ひとり目が覚める。 ここはどこだろうと思う。 電気が消えていて、真っ暗なので、一瞬ここがどこなのかわからない。 自分が住んでいる、亀戸のアパートの部屋の中なのだろうと思うのだけど、どうにも自信がなくて、電気をつける勇気がない。 よく目を凝…

東京日記(14)

夜、雨がとつぜん降り出した。すごいいきおいで、激しくなってきて、ものすごい雨音がする。それを、ひとり部屋の中で聴いていた。降ってくる雨が、いろいろなものにぶつかり、音をたてている。わたしも雨に、音をたてられたくなった。透明なビニール傘を持…

いったい幸せはどこにあるのだろう。いったい人生とはどこにあるのだろう。

いったい幸せはどこにあるのだろう。いったい人生とはどこにあるのだろう。幸せや喜びに満ちた場所、それはいったいどこにあるのだろう。いや、そういう場所があることを、ごく身近にあることを、わたしは知っている。昨日のように、この眼で目にすることも…

消える

最近、今死んだらどうなるだろう、と考えることが多くなってきた。夜、コンビニの袋を下げて、ふらふらと近所を歩いているとき。最寄駅の構内を歩いてい て、改札を抜けたりするとき。電車に揺られながら、まだ行ったことのない、東京の見知らぬ町をぼっとな…

上京日記(28)

四月二十六日 仕事が入ったのに風邪をひいてしまった。 ただの風邪だと思っていたらからだが弱っていたのか熱が出て、寝込んでしまった。 そんな状態でも早く治すためには何か食べなければならないから、這うようにしてコンビニに向かった。スーパーの方が安…

お客様

ちょっとお伺いしていいですか。パソコンが動かなくなったんです。どうして頂けるんですか。ここしか番号がわからないしいろいろたらい回しにされてここに掛けてくれと言われたんです。ここのオペレーターさんならわかるからといわれて。あなたがわからない…