読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

薫の下流日記

日記、近況、習作、その他ゴミ置き場

上京日記

上京日記(63)

六月二十八日 冷蔵庫が見える。冷蔵庫が見えた。ついに冷蔵庫さんがわが家に来た。 配達に来た人が帰るまでは、なんとか平静を装ったが、帰った後は冷静ではいられなかった。 冷蔵庫さんに抱きついた。頬ずりした。 何度も扉を開け閉めして、まだ何も入って…

上京日記(62)

六月二十七日 明日、冷蔵庫が我が家にやって来る。 東京に来てはじめて入った原稿料で、冷蔵庫を買ったのだ。 本当に嬉しい。 冷蔵庫などと呼び捨てではなく、冷蔵庫さんとさん付けで呼びたい。 歓迎冷蔵庫さん、と書かれた横断幕をはり、色とりどり折り紙で…

上京日記(61)

六月九日 何もかも上手くいかない。いつのまにか朝になっている。何だかクサクサするので発泡酒でも飲んでふて寝することにした。 外に出ると、ランドセルを背負った子どもたちが歩いていた。自分はそういうものと何か隔たってしまったような気がする。子ど…

上京日記(60)

六月八日 夕方、近所のスーパーで買い物をしていたら、非常にかわいい女の子を見かけた。 わたしがそんなかわいい子を知っているはずは無いのだが、どこかで会ったような気がした。 あなたのことに見覚えがあるのですが(もしかして運命の人!)、あなた誰で…

上京日記(59)

六月七日 Cさんに呼び出され竹橋へ。随分長いプラットホームだなー、と思って歩いていたら、大手町方面出口、と書いてある。無言で引き返すと、逆方向が竹橋の改札だった。パレスサイドビルの上島珈琲に居ます、と携帯にメールが入る。 上島珈琲を見つけ店…

上京日記(58)

六月五日 ブックオフで立ち読みをする。マンガ『プラモ狂四郎』を見かける。なつかしい。 リアルタイムで、子供の頃読んで以来だったが、かなり場面とか、話の展開とか、うわーこうだったこうだった、とはっきりと憶えていて、記憶って不思議なものだと思っ…

上京日記(57)

六月四日 わたしはまだ冷蔵庫を持っていない。そろそろ冷蔵庫を買わないといけないだろうか。冷蔵庫があると食料を保存しておけるし、冷たいお茶などを飲むこともできる。食中りとかも防げるだろう。 わたしはこれまでに3回ほど食中りを経験している。3回…

上京日記(56)

六月三日 なるべくホクロのことは考えないようにして過ごした。 梅雨を追い越して夏が来たかのように暑い。 2007.06.03 Sunday

上京日記(55)

六月二日 家に帰るのがめんどうくさくなり、友人の家に泊めてもらった。風呂を借りたら、わたしの使った後には、すごい量の毛が落ちていたという。 確かに自分でも、わたしは少し毛が抜けるペースが速いのではないかと思う。 わたしの部屋はちょっと掃除をし…

上京日記(54)

六月一日 ホクロのことで医者に行こうかどうか悩む。友人に何気ない振りをして、ホクロが大きくなっているように思うか、と訊くと、別にそうは思わないといわれる。 それで終わろうと思っていたら、ひとのホクロをジロジロ見て、なに、気にしてるの、と訊い…

上京日記(53)

五月三十一日 おっす、オラ、ホクロ。ホクロが異常にでかくなって困ってるんだぁ、と鏡の自分に向かって言った。何だか突然悲しくなってきた。 ホクロに関してネットで調べると、ホクロ癌というものがあるらしい。 ホクロが突然大きくなって来たり、色が染み…

上京日記(52)

五月三十日 最近ほくろで悩んでいる。顔にあるほくろで悩んでいる。 顔にあるほくろが、どんどんとおっきくなっているような気がしている。 やがてピンポン球ぐらいになってしまうのではないか、とついついいやな想像をしてしまう。 芸能人でいうと、マリリ…

上京日記(51)

五月二十九日 広島には、和風ファーストフード店とも言える、むすびのむさしと、うどんのちからがあった。 ああ、むさしの若鶏むすびが食べたい。ちからの天ぷらうどんといなりずしと桜餅が食べたい。 ちょっとめし時を外した時間に、空いた店内でむすびやう…

上京日記(50)

五月二十八日 また夢の中に謎の白人女性ベッキーがあらわれた。家を出たわたしを、一定の距離を保ったままつけてくる。電信柱の影に隠れたり、後はつけていない振りをしながらも、手に持っている瓶を、なぜかちらちら目に付くように見せてくる。はじめは無視…

上京日記(49)

五月二十七日 夜遅く、コンビニのビニール袋を下げて家に帰っていたら、いますぐビニール袋を放り投げ、両耳を塞ぎ、いま歩いている道を叫びながらどこまでも走っていきたい衝動にとらわれた。 2007.05.27 Sunday

上京日記(48)

五月二十六日 ほしいもの 冷蔵庫 テレビ 自転車 電子レンジ とノートに書き、じっと見つめた。 2007.05.26 Saturday

上京日記(47)

五月二十五日 自分では気づかなかったが、わたしはかなりうんこ好きらしい。 友人が、仕事で忙しいなか、携帯にメールが入っているので見ると、でっかいうんこが出たよ、とだけ記されたメールが、わたしから届いていたらしい。またある日は、ほうれん草で作…

上京日記(46)

五月二十二日 チラシがわたしを誘惑してくる。チラシは絶対におサセである。 届いた光熱費の請求書を取りに、郵便受けを覗くわたしを、チラシはいつも横から誘惑してくる。 ヤツらの手口はいつも決まっていて、わたしが郵便受けを開けた瞬間から、もう美味し…

上京日記(45)

五月二十一日 歩いていると、とつぜんアゲハチョウが飛んできてわたしにとまろうとした。 ビックリしてこけてしまい。手を擦りむいた。 毎年、このような目に遭う。 何を考えているんだろうかチョウは、わたしは花ではない。 去年も自転車をこいでいたら、真…

上京日記(44)

五月十六日 本屋で立ち読みをしていたらおならをしてしまった。 静かな店内に、ぷーぅーというおならの音が響いた。 静かな店内が、一瞬さらに静かになった。 何も無かった振りを、みんなしている。 しかし、そこに居合わせているすべての人が、この人おなら…

上京日記(43)

五月十五日 おっぱいには勝てない。 おっぱいに比べたらわたしなどただのゴミ虫だ。 乳首なんか出ていた日には微生物だ。 存在してるのだかどうかもわからなくなる。 星を手に入れようと、棒切れを屋根の上で振り回しているようなものだ。 気が狂いそうな青…

上京日記(42)

五月十四日 6月30日に、夏帆と結婚することに決めた。6月30日、夏帆が16歳になったと同時に、婚姻届を区役所に出す。これでもう僕は夏帆のものだ。夏帆のものだと思ったら生きていけるような気がした。最高裁まで争う。わたしは夏帆の配偶者に成りたいだけな…

上京日記(41)

五月十二日 ひところは淫乱な主婦から、旦那に内緒でエロい関係になることを仄めかすような、そんなメールが送られてきて、無視していたが、近頃送られてこなくなった。主婦に何があったのだろうか、旦那にでも見つかったか、と思っていたが、最近は、いきな…

上京日記(40)

五月十一日 真夜中、マネキン工場にわたしは忍び込んだ。愛用のてぬぐいを頬っ被りし、ヨレヨレの白いランニングを着、らくだ色の股引を穿いている。無数のマネキンや、無数の女の脚や腕、ボディなどを見て、中年肥りで脹れた自分の腹を自分で撫で回しながら…

上京日記(39)

五月十日 目の見えなくなったふりをする市原悦子に、一日中つき纏われる夢を見た。 2007.05.10 Thursday

上京日記(38)

五月九日 目が覚めると、見知らぬ白人女性がわたしのからだにピーナッツバターを塗りたくっていた。た、食べられる。わたしはベットから飛び起き、裸足のまま外へかけ出した。後ろを振り返ると、バターナイフとピーナッツバターの瓶を持って、見知らぬ白人女…

上京日記(37)

五月七日 携帯電話で話していたら、相手に言葉を遮られ、鼻息が荒すぎる、と注意を受けた。 2007.05.07 Monday

上京日記(36)

五月六日 からだが弱っているので精をつけようとした。 たまごの食べ過ぎておならが臭い。 誰に嗅がせよう。くさいよ。 2007.05.06 Sunday

上京日記(35)

五月四日 四日になったばかりの午前零時過ぎ、携帯が震えた。見ると、お誕生日おめでとうと、広島に住む友人からメールが入っている。大学時代からの友人で、つまりは向こうも、いい年をした中年オヤジである。中年オヤジが中年オヤジに、誕生日を祝うメール…

上京日記(34)

五月三日 日がな一日、ネットのエロ動画を見て過ごす。セックスというものは滑稽であるけど、見ていてどこか癒されるところがある。 2007.05.03 Thursday

上京日記(33)

五月一日 朝、収集日が週に二日しかないので、鼻をかんだティッシュペーパーが四日分溜まり、使用済みのティシュペーパーのみでぱんぱんに膨らんだ透明のゴミ袋を、集積所まで下げていった。 透明のゴミ袋を、既に捨てられているゴミ袋の上に置こうとしてい…

上京日記(32)

四月三十日 鼻水が出てしょうがない。ゴミ箱が、鼻をかんだ後のティッシュで溢れ返っている。引越し時、友人に買ってもらったティシュペーパー数個組みのセットが、もう全部無くなりそうである。次から次と、鼻水が出てくる。いったいわたしのからだのどこに…

上京日記(31)

四月二十九日 寝るとかなり元気になるが、起きて二三時間すると、また体調が悪くなってくる。そしてまた寝る。それの延々繰り返し。食欲はある。どちらかというと旺盛。 コンビニの前で、カラシとケチャップの配合に工夫を凝らしながら、フランクフルトを食…

上京日記(30)

四月二十八日 まだ風邪が治らない。本当に自分がひいているのは風邪だろうか、不安になる。チフスやペストのように、わが家の下水から新しい病原体が発生し、わたしにまず感染したのではないだろうか。 まだ、死にたくは無いが、人生のうち一度は、隔離され…

上京日記(29)

四月二十七日 風邪で鼻が詰まり、まったくニオイを嗅ぐことができなくなった。生ゴミ臭い部屋にいるはずだが、まったく平気である。 このまま鼻が詰まったままなら、快適に暮らしていけるかもしれない、と思った。 しかし、鼻がきかないとなると、たとえば女…

上京日記(28)

四月二十六日 仕事が入ったのに風邪をひいてしまった。 ただの風邪だと思っていたらからだが弱っていたのか熱が出て、寝込んでしまった。 そんな状態でも早く治すためには何か食べなければならないから、這うようにしてコンビニに向かった。スーパーの方が安…

上京日記(27)

四月二十五日 部屋が臭い。部屋中がかすかに、生ゴミのような、カビのような臭いがする。 キッチンの排水溝からで、それがひどいときは部屋に充満している。 流しの下の扉は出来る限り開けたくない。とんでもない臭いがする。 はじめは、賃貸物件特有の、壁…

上京日記(26)

四月二十四日 カップ焼きそばを湯切りしていたらミスって中身をシンクにぶちまけてしまった。 2007.04.24 Tuesday

上京日記(25)

四月二十三日 東京に住んでいる友人が、こんど千葉県に引っ越すのだという。 話を聞いていると、自分が都民じゃなくなるのが、ちょっといやだ、というようなことを言った。 とんでもないことを言う。この都野郎め、県をなめるなよ、と思った。 廃藩置県(187…

上京日記(24)

四月二十二日 Cさんよりメールが来る。 休日の代々木公園、とだけ書かれていた。 休日の代々木公園には、何があるのだろうか。 へんなひとでも集まっているのだろうか。 調べると、代々木公園に行くには、原宿駅で下車すればいいようだ。 いまはお金が無い…

上京日記(23)

四月二十一日 川岸を散歩していると、川のほとりの水面を、ぷかりぷかりと浮き沈みしているビンを見つけた。 コルクで封がしてある。誰かが流したものらしい。 拾い上げ、封を開けてみると、一枚紙が出てきた。 僕の彼女はワキガです、と書かれていた。 2007…

上京日記(22)

四月二十日 わたしの住むアパートの隣に一戸建ての家があり、そこに大きな犬が飼われている。ゴールデンレトリバーという種類の犬だが、ときどき激しく吠えているのを、自分の部屋に居る時などに聞く。 しかし、わたしはその一戸建ての前をよく通るのである…

上京日記(21)

四月十九日 クレジット会社から手紙が届いているのに気づく。 はて、なんだろう、と思ったが、そういえば、銀行で口座を開設したときに、ATMを利用するキャッシュカードを、その銀行系のクレジットカードも兼ねるようにさせてくれないか、と言われたのを…

上京日記(20)

四月十八日(そのニ) ついにベットまでわが家に届く。 組み立て式なので、さっそく作ってみることにする。 ベットは簡単に組み上がった。これでベットの上でくつろいだり、寝たりすることができる。昨日来てくれたCさんは、板敷きの上にゴザが敷いてあるだ…

上京日記(19)

四月十八日 ネットラジオで、インド音楽を聴いていた。楽しい気分になり、インド人の踊り子になったような気になり、シバ神の像の前で舞っているようなつもりで、腰をくねらせ踊っていた。 何か視線を感じるな、と思ったら、網戸にしていた窓から、近所の人…

上京日記(18)

四月十七日 Cさんわが家に来る。 待ち合わせ場所である近所の神社に行くと、Cさんは先に来ていた。愛用のデジタルカメラリコーのGRで熱心に撮影をしていた。何か声を掛けづらかった。 Cさんに夕飯をごちそうになる。 近くのスーパーで惣菜を買ったが、…

上京日記(17)

四月十六日 所用で東陽町に行く。 東陽町にはUFOの基地がある。 宇宙人も多く住んでおり、東西線を利用し、竹橋や九段下で働いている。 もちろんそのことは伏せられている。 東陽町の街を歩きながら、この中には何人も宇宙人が紛れ込んでおり、もしかした…

上京日記(16)

四月十五日 近所に、とても味のある佇まいの和菓子屋を見つける。 高級な和菓子屋ではなく、下町にある、近所の和菓子屋で、おばあさんがひとりでやっているよう。売っているものは和菓子だが、店の雰囲気は駄菓子屋に近い。 ガラスの陳列棚に、箱が幾つか並…

上京日記(15)

四月十四日 わたし以外には誰も部屋に居ないので、大きな音でオナラをすることに最近非常に凝っている。できる限り大きな音を鳴らしたり、わざと変な拍子で鳴らすことに、日々工夫を凝らしている。 わたしはひとつの大きな楽器である。楽器であるときのわた…

上京日記(14)

四月十三日 新居にインターネット開通。 わたしの家にはテレビも無く、訪ねてくる人もおらず、気づくと一日中言葉を発していない日もあった。東京砂漠である。 町に出れば、東京には人がたくさんいる。しかし、たくさんでも、それは全部見知らぬ人である。た…